2019-08-04

東アジア海底トンネル   ブログ 再 放送 2013-08-29

新しい大人の童話(11)
🏍️🏍️🏍️

1 2033年八月、日本列島は北海道と沖縄を除き、どの地域も四十度を超える暑さが当たり前になっています。
熱中症の為、体調を然るべく維持できない人々が溢れるようになると、十年前、2023年
一月一日、日本政府は決断して国民にある通達を出しました。

毎年、八月一日から同三十一日まで、日本国民は仕事を控え、避暑に入るように。

もちろん、アイスクリーム、氷や冷たい飲み物を作る企業で働いている人達、毎年多くの
観光客が訪れる都市で働く人々、そしてまた、市民の生活に密着した公務員や労働者には適用されないのですが、健康な人間の体温36.5度をはるかに超える暑さの前に、
多くの企業、会社や自営業者が休みを取るようになりました。

2 九州、中国地方で避暑を取ることの出来る多くのひとが、日本を出て朝鮮半島や中国の
旧満州地方へ足を伸ばすことを楽しみにしています。


八月に入って、あと一週間で八月の例の休暇が終ろうとする、猛烈に暑い日のお昼頃、
佐々木と中村と言う名前の交通機動隊の二人は、後ろに民間の軽トラックを先導する形で、長崎県壱岐市にある交通機動隊基地を出発し、対馬に向かって、海底トンネル内の道路を北上しています。


佐賀県唐津市から朝鮮半島の南端にある韓国の都市釜山への海底トンネルが、2030年四月に開通して約三年経ちます。

このトンネルは「東アジア海底トンネル」と命名され、半島の韓国や北朝鮮はもちろん、アジア大陸のロシア、インドそしてまた中国、その他の国々からも日本にやって
来ることが出来るように成りました。

韓国、釜山の海底トンネルの入り口から、対馬と壱岐の二つの島の西側を通り、終点
唐津のトンネルの出口まで最短約六時間五十分で着くことが出来ます(時速は最高
85キロに制限されています)。

トンネルは三階から成り、最上階はソウルと福岡を結ぶ新幹線が走っています。
一階と二階は、車両走行用に用いられます。

トンネル内での発生可能な交通事故やこれに付帯して起こり得る火災等の発生時には、
走行使用中の一階部分(追越車線を含む二車線が二つある道路)は直ちに閉鎖されます。
そして、通常未使用状態の二階の同じ形の道路が開放されるのです。


3 壱岐の交通機動隊基地で待機中だった佐々木と中村の二人に、緊急無線連絡が
は入ったのは、こうした状況だったのです。

対馬と壱岐のトンネル内で豚を積んで、鹿児島県に帰っていた中型トラックがカーブで転倒、豚が一匹逃げて壱岐方面へ逃走中とのこと。

現在、トンネルの一階部分は閉鎖され、二階が開放されています。警察関係の二人と畜産関係者の二人が、一階部分のトンネル内に居る筈の豚一匹を捕獲するようにとの命令です(続く)。

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