持続するもの、 人柄 そして 人格 (1)
これからの自分の考察の中心概念となる人格(ひとの人格、法人としての人格)
について、準備的に具体的な形で書き進めています。
1 戦後、日本人で初めてノーベル賞を貰った湯川秀樹が書いた自己のエッセイ、
正確には家族を含めた自己評伝の好さは、自己の学問の
深まりについての記述以上に、自己や自己を囲むひとについての洞察が
しっかりしていることだと思う。
科学が自己の思いの外に出て行く仕方で真理を追求する、もっと言えば、
それ自体である存在へ向かう。ところがこれとは正反対に、そうした自己とは何なのかを
見極めようとする姿勢が顕著なひとが
湯川さんなのである。
2湯川氏の『旅人』註)のなかでの全体の著述は、ノーベル賞を
頂いた後で終わっていて、本全体が何処か謙遜さを備えている。
つまり、受賞後の人生は書かれていない。
そして、ノーベル物理学賞は1953年、約70年前である。
彼が自己の性格、人柄 そして 人格について言及する場面は少ない。
まだ、小さな時に母親(昭和18年に亡くなる)に東京で最初に住んでいた
お家はどんなものなのだったかを聴く場面。
母方の祖母が、自分の能力を認めて『子供たち三人の中で一番
頭の良いのは秀樹じゃろう』と語る場面。
3 父親を描く文章が印象的なので、長くなるが『旅人』から
そのまま、引用したい。
続く
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