2020-01-02

 カイロス          時間と時 2回目

❒前置き❐
平成14年7月『新しい微笑いの詩』に載せた記事のタイトルを
変え、また内容も一部圧縮してその記事を放送しています。 

タイトルは、 
「いのちの輝きだった Greensleeves(「緑の袖」が原意)」でした。


1 古典ギリシャ語には、面白いことに時間を表す言葉が二つ有ります。

一つは、時間の基本的な意味を指し示すクロノス。

例えば、大学生になって受けたギリシャ語で、使っていたテキストの文法の
ある箇所に出ていた文章、
ーーーkronos が医者であるーーは、
苦しみを癒やしてくれるのは時間なんだ、の意味に理解されます。
時間がただ流れていくことが、苦しみの終わりに繋がる。  


2 あと一つの時間を表す言葉が、今日主題となる カイロス です。

このカイロスの持つ基本的な言葉の意味は「旬の時 the right season」です。

しかしながら、これからの記事は、カイロスの意味のなかで、これとは別の意味に
光りを当てて提示しています。

ただある歌を通して、その別のカイロスの意味へと向かう
廻り道をしています。

  〜〜〜〜  〜〜〜  〜〜〜

     💌いのちの輝きだったGreensleeves💕

3  普通、これは女の人、歌手が歌うことの多い曲だが、女性の
  失恋の歌ではない。
  Greensleeves の詩そのものは、女性に袖にされた男の苦しみと
  悲しみを詠うイギリス、イングランド地方の民謡である。


  Alas ,(以下、詩の最初の部分を訳出)

  何と言うことか、酷いことに、貴女はわたしをつれなく
  袖にしてしまった。でも、わたしは貴女をずーっと愛して来たのです、
  貴女と居るのが嬉しくて。

  (コーラス)
  Greensleeves は私の喜びだった。
  Greensleeves は私の幸せだった、何故なら
  Greensleeves は私のこころの輝きだったのです。
  ほんとに、貴婦人のあのひと以外に誰も居ない私のこころの輝きでした。

  〜〜〜〜〜〜〜
4 僕が感じるのは、
 『 greensleeves は私の喜びだった』という過去形の箇所だ。

  わたしの喜びの女性、わたしの喜びの源である彼女がある時を
  境に最早、喜びではない Greensleeves に変わってしまった!

  もはやわたしの喜びではない、Greensleeves とは!。   

  自分のいのちの輝きである、あの満ち足りた時は何処に行ってしまったのか?
  それとも、あの満ち足りた時は何処に行っているのか?

5  時と呼ばれるものの意味が、失恋の叫びを通して変容してしまっている。
 
   昨日の今日、今日の明日という時の流れが断ち切られ、
   現在の時間とは分断された過去の『時』が現在の自分を苦しめている。

   この為であろう、自分を取り囲む毎日の景色が違って見える。
  
   これまでは知らなかった時間、ギリシャ語で特に
   カイロスと呼ばれる『時』が現れてしまっている。

🗻

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