❒前置き❐
平成14年7月『新しい微笑いの詩』に載せた記事のタイトルを
変え、また内容も一部圧縮してその記事を放送しています。
タイトルは、
「いのちの輝きだった Greensleeves(「緑の袖」が原意)」でした。
1 古典ギリシャ語には、面白いことに時間を表す言葉が二つ有ります。
一つは、時間の基本的な意味を指し示すクロノス。
例えば、大学生になって受けたギリシャ語で、使っていたテキストの文法の
ある箇所に出ていた文章、
ーーーkronos が医者であるーーは、
苦しみを癒やしてくれるのは時間なんだ、の意味に理解されます。
時間がただ流れていくことが、苦しみの終わりに繋がる。
2 あと一つの時間を表す言葉が、今日主題となる カイロス です。
このカイロスの持つ基本的な言葉の意味は「旬の時 the right season」です。
しかしながら、これからの記事は、カイロスの意味のなかで、これとは別の意味に
光りを当てて提示しています。
ただある歌を通して、その別のカイロスの意味へと向かう
廻り道をしています。
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💌いのちの輝きだったGreensleeves💕
3 普通、これは女の人、歌手が歌うことの多い曲だが、女性の
失恋の歌ではない。
Greensleeves の詩そのものは、女性に袖にされた男の苦しみと
悲しみを詠うイギリス、イングランド地方の民謡である。
Alas ,(以下、詩の最初の部分を訳出)
何と言うことか、酷いことに、貴女はわたしをつれなく
袖にしてしまった。でも、わたしは貴女をずーっと愛して来たのです、
貴女と居るのが嬉しくて。
(コーラス)
Greensleeves は私の喜びだった。
Greensleeves は私の幸せだった、何故なら
Greensleeves は私のこころの輝きだったのです。
ほんとに、貴婦人のあのひと以外に誰も居ない私のこころの輝きでした。
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4 僕が感じるのは、
『 greensleeves は私の喜びだった』という過去形の箇所だ。
わたしの喜びの女性、わたしの喜びの源である彼女がある時を
境に最早、喜びではない Greensleeves に変わってしまった!
もはやわたしの喜びではない、Greensleeves とは!。
自分のいのちの輝きである、あの満ち足りた時は何処に行ってしまったのか?
それとも、あの満ち足りた時は何処に行っているのか?
5 時と呼ばれるものの意味が、失恋の叫びを通して変容してしまっている。
昨日の今日、今日の明日という時の流れが断ち切られ、
現在の時間とは分断された過去の『時』が現在の自分を苦しめている。
この為であろう、自分を取り囲む毎日の景色が違って見える。
これまでは知らなかった時間、ギリシャ語で特に
カイロスと呼ばれる『時』が現れてしまっている。
🗻
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