2019-08-19

言葉を診て生きる   ブログ 再 放送


新しい大人の童話(5)
言葉を診て生きる  ブログ再放送 2013-05-07 Tue


プロローグ:
あるひとの妻が約二千年以上を経て、
亡霊のように貴方に、語り掛けます。

🔭 
 えぇ、医者でした。

 身体を診るのが医者ですが、わたしの夫は変わったことに、
 ひとの言葉を診るところの医者でした。

 尤もらしいことを言うひとが嫌いで、しばしば
 「君は何も言っていないよ」と呟くのです。その時、
 「君自身の存在はゼロかもね」と悟らせたかったみたいです。


 世のヒトの恨みを買ったのでしょうね。

 あらぬことで告訴され裁判の結果、信じられないことに、
 死刑になりました。


 でも、わたしの夫は「それも悪くない」と考えたようです。

 ひとの話す言葉をよく診察し、そのひとのねじ曲がった魂を
 矯正する仕事は、神が自分に与えてくれた天命だと
 信じきっていたからです。

 言葉(本当に言葉だけにしか関心がなかったひとです)を
 良く診る仕事を放り出してまで、生きるに値する他の人生は
 考えられなかったのです。


 妻であるわたしは、夫を世界一、立派であると今でも
 誇らしく思っております。

 あなた方が大学で受ける、深く考えることに関わる
 授業の端緒が、夫が受けたデルポイの神託にあったことを
 御存知でした?

 その時に、夫が経験した、驚愕、恐れそして不安から
 今日の philosophy と呼ばれる学問が生まれたのですよ。

🗻








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