👭あるシスターの新しい喜び 2013-04-14 Sun
新しい童話を送り致します。
大人の童話(2)
森の中の小さな修道院に、女の孤児が二人預けられました。
二人は双生児で、髪の色と背の高さ以外は同じ外見に見えました。
背の高い茶色の髪の子供は、茶色のメアリーと、背の低い赤色の髪の子供は、
赤色のマリーと呼ばれていました。
一年が経ちました。
新しいお世話係が決まりました。
世話役になったシスターは、赤色のマリーと茶色のメアリーを、差別しないで、
何時も同等の愛情を二人に注ぎました。
茶色のメアリーは走るのが速く、毎日修道院の広い敷地を走り回っていました。
赤色のマリーはジッとしている子で、本を読んだり修道院の建物の外では
アリ達のうごきを観察するのが好きでした。
シスターは二人の未来がどうなるか、楽しくてなりません。
ただ、不思議なことにメアリーとマリーが大きくなるにつれ、
既にあの世に行った自分の母親にだんだん似てくるように思えてなりませんでした。
シスターの母親は、自分を産んだ後十歳の時、乳癌で亡くなっていたのです。
ある時、こころの中で天へ向かって叫びました。
『どうしたら良いか、教えて下さい! 教えて下さい!』
しかし、天は何もお答えになりませんでした。
メアリーとマリーが十歳になったある日、二人は遠く、離れた処に住む
お金持ちの夫妻に引き取られて行きました。
シスターは押し黙り、美しい顔から何かが無くなっていきました。
十五年経ちました。シスターの楽しみは、修道院の中にある田畑を耕して
野菜を作ることでした。
ある日、この修道院に久しぶりに、若いシスターが入って来ました。
その顔をチラッと一瞥した時、年老いていたシスターは我を
忘れる程に驚いてしまいました。
何と、あの赤色のマリーだったのです!
シスターは倒れそうになりました。やっとのことで、マリーを両手で
抱き締め、泣き出しました。
また十五年経ちました。
年老いていたシスターは、いま、同じ修道院で院長の補佐になっている
シスター ・マリーの手足となって働いています。
シスターは思います。
『わたしはこれで良かったのかしら。』
天はやはり黙ったままです。
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