新しい大人の童話(5)
言葉を診て生きる ブログ再放送 2013-05-07 Tue
プロローグ:
あるひとの妻が約二千年以上を経て、
亡霊のように貴方に、語り掛けます。
🔭
えぇ、医者でした。
身体を診るのが医者ですが、わたしの夫は変わったことに、
ひとの言葉を診るところの医者でした。
尤もらしいことを言うひとが嫌いで、しばしば
「君は何も言っていないよ」と呟くのです。その時、
「君自身の存在はゼロかもね」と悟らせたかったみたいです。
世のヒトの恨みを買ったのでしょうね。
あらぬことで告訴され裁判の結果、信じられないことに、
死刑になりました。
でも、わたしの夫は「それも悪くない」と考えたようです。
ひとの話す言葉をよく診察し、そのひとのねじ曲がった魂を
矯正する仕事は、神が自分に与えてくれた天命だと
信じきっていたからです。
言葉(本当に言葉だけにしか関心がなかったひとです)を
良く診る仕事を放り出してまで、生きるに値する他の人生は
考えられなかったのです。
妻であるわたしは、夫を世界一、立派であると今でも
誇らしく思っております。
あなた方が大学で受ける、深く考えることに関わる
授業の端緒が、夫が受けたデルポイの神託にあったことを
御存知でした?
その時に、夫が経験した、驚愕、恐れそして不安から
今日の philosophy と呼ばれる学問が生まれたのですよ。
🗻
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